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(眠い…)
伊織は、教師の説明をやる気のない顔で聞いていた。
「…が行う以上だ。これ以降各生徒は当日まで自由行動とする」
説明が終わり、教師が教室を出ると生徒達は、これからの事など、騒がしく話しだした。
しかし、伊織は大会など、どうでもよかった。
特に戦闘が嫌いな訳では無かったが、早く学園で、魔術を学びたいと強く望んでいた伊織にとって無駄に思えて仕方がなかったのだ。
「伊織これからどうする?」
相変わらずやる気のなさそうに机に突っ伏している伊織に声がかかった。
声をかけられ伊織が顔を上げると、ピンク色の髪を肩の辺りまで伸ばしたセミロングの女子生徒がこちらを見つめている。
入学試験以来の友人、朝霞千尋(あさぎりちひろ)だった。
「どうするって?」
伊織は恐ろしくダルそうな声で返した。
「魔術戦闘大会の事に決まってるじゃない」
「あぁ、それのことか」
「“それ”じゃないでしょ、この大会は、言わば新入生の品定めなんだから、先輩や教師の印象を良くする為にも、もう少しやる気を出して取り組んだらどうなの」
やる気のまったく感じられない伊織に対して千尋は呆れた口調で言った。
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