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朝、いつもと変わらない日常。僕はいつものように朝食をとるためリビングへと降りる。 なんの変哲もない一日の始まり…のはずだった。
「あらおはよう、早くお座りなさい」
"それ"は母の声で朝食の皿を並べながら僕に言った。
その隣には新聞を広げ―読んでいるのだろう―椅子に座っている"それ"。
僕は一度瞬いた。しかし、そこにいるのはやっぱり"それ"。
子供達の嫌われもの、人参。
「何してるの、早く食べなさい」
母の声の人参に急かされ僕は椅子に座る。目の前に並ぶ朝食。トーストに野菜、コーヒー…やはりこの人参は母のようだ。
正体がわかれば怖いものでもない。
この人参が母なら新聞を読んでいるのは父で間違いないだろう。
ただ見分けがつかないのは少々困るが…まぁ気にするほどのことでもないだろう。
僕は軽く考えていた。
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