~人間盲目人参症~

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彼女は説明を始めた。 人間盲目人参症。 それはある日突然、動くものすべてが人参に見えるようになると言う病気。 その特徴は、人間盲目人参症にかかった人間同士は普通の人間に見える。 また、一部が人参になって見えたものは、その病にかかりかけているのだと言う。 本人に自覚症状はなく、かかって初めて気付く。 命に別状はまったくない。 「でもどうして僕が突然?」 昨日までなんともなかったのだ。それがどうして… 彼女はきっぱり言い切った。 「あなた、人参が大嫌いでしょう」 ……………たしかに、好きではない。正直、この世から消えてもらいたいくらいの食べ物だが…。 「この病気は人参が嫌いな人がかかるの。全員ではないけれど」 「ち…治療法は??」 「あるわ」 彼女は言った。 「人参を好きになればいい」 ついに僕は絶句した。 何年も嫌いと思い続けた野菜を今更どうして好きになれよう? 否、無理だ… 「だぁいじょうぶよ、慣れたら形の違いとかで判別つけれるようになるって」 軽く笑って話す彼女の言葉を、僕は呆然と聞き流していた… ~完~
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