第一話:キャティ発情!?魔界の媚薬は恋の味!

8/18
前へ
/182ページ
次へ
  「……ぷはっ」 一気に麦茶を飲み干したキャティは、すぐに様子がおかしくなりました。 トロンとした瞳が宙を泳ぎ、頬にはほんのり朱が差します。 しきりにもじもじと身体をくねらせ、表情はどこか上の空でした。 その様子を見て、禁児がしてやったりと言った表情を浮かべます。 「どしたキャティ? 食べないのか?」 不意に声を掛ける禁児に、トロンとしていたキャティの瞳にハッと色が戻りました。 「にゃっ!? あ、ああ勿論食べるで! ありがとな、禁児」 そう言って禁児に向けたキャティの笑顔は、どことなくぎこちないものでした。 (効いてるぅぅぅ! 間違いない! これは効いてる! 効きまくっているぅ! れれれ冷静になれ、俺! こいつはなんだかんだ言って強情だからな! より効率良く攻略する方法をしっかり考えなくては!) なんでしょうか攻略って。 とりあえず、禁児の瞳に邪悪な色がプンプンと宿り、惚けたようにフィッシュバーガーをちまちま食べるキャティを見据えました。 「……ごめんな、キャティ。余計な事だったかな」 「ふぇっ!? ど、どしたん?」 いきなり落ち込んだように口を開く禁児に、キャティが慌てます。 「無理すんなよ。本当は食べたく無かったんだろ、それ。いつもはもっと美味そうに食べるじゃんか。何か気を遣わせちゃったみたいだな……」 「えっ!? ちゃ、ちゃうねん! ほんまに嬉しいんよ! ただ、何か急に……」 「急に? 急にどうしたんだよキャティ。体調でも悪いのか?」 あからさまに落ち込む様子を見せる禁児に、キャティが慌てて取り繕います。 「大丈夫か、キャティ。熱でもあんのか?」 そう言って、禁児がキャティの額に自分の額を触れ合わせました。 「……!? ふにゃああああっ!」 その禁児の行動に慌てたキャティが、顔を真っ赤にして禁児を突き飛ばしました。  
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6878人が本棚に入れています
本棚に追加