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「……ぷはっ」
一気に麦茶を飲み干したキャティは、すぐに様子がおかしくなりました。
トロンとした瞳が宙を泳ぎ、頬にはほんのり朱が差します。
しきりにもじもじと身体をくねらせ、表情はどこか上の空でした。
その様子を見て、禁児がしてやったりと言った表情を浮かべます。
「どしたキャティ? 食べないのか?」
不意に声を掛ける禁児に、トロンとしていたキャティの瞳にハッと色が戻りました。
「にゃっ!? あ、ああ勿論食べるで! ありがとな、禁児」
そう言って禁児に向けたキャティの笑顔は、どことなくぎこちないものでした。
(効いてるぅぅぅ! 間違いない! これは効いてる! 効きまくっているぅ! れれれ冷静になれ、俺! こいつはなんだかんだ言って強情だからな! より効率良く攻略する方法をしっかり考えなくては!)
なんでしょうか攻略って。
とりあえず、禁児の瞳に邪悪な色がプンプンと宿り、惚けたようにフィッシュバーガーをちまちま食べるキャティを見据えました。
「……ごめんな、キャティ。余計な事だったかな」
「ふぇっ!? ど、どしたん?」
いきなり落ち込んだように口を開く禁児に、キャティが慌てます。
「無理すんなよ。本当は食べたく無かったんだろ、それ。いつもはもっと美味そうに食べるじゃんか。何か気を遣わせちゃったみたいだな……」
「えっ!? ちゃ、ちゃうねん! ほんまに嬉しいんよ! ただ、何か急に……」
「急に? 急にどうしたんだよキャティ。体調でも悪いのか?」
あからさまに落ち込む様子を見せる禁児に、キャティが慌てて取り繕います。
「大丈夫か、キャティ。熱でもあんのか?」
そう言って、禁児がキャティの額に自分の額を触れ合わせました。
「……!? ふにゃああああっ!」
その禁児の行動に慌てたキャティが、顔を真っ赤にして禁児を突き飛ばしました。
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