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「痛っ!!」
「あっ……!! ご、ごめん禁児……」
突き飛ばされた禁児の声でハッと我に帰ったキャティが、慌てて謝罪します。
「……やましい気持ちは無かったんだけどな。ショックだよ、何か。心配しただけなのに、キャティには伝わらないんだな」
そりゃあ普段の言動がアレですから。
「ちゃ、ちゃうねん! ……ほんまにちゃうねん。何か急に身体が……」
「いいよもう。俺は部屋に戻るよ。それ、いらなかったら無理しないでいいから。それじゃ」
衣服の埃を払いながら、禁児がゆっくりキッチンを出ようとします。
「いやっ! 禁児……待って……! ウチ、ほんまに……」
「いいっつってんだろ!」
引き止めようとするキャティを冷たく引き離す禁児。
そして、禁児は振り返る事無く、自室への道を歩き始めました。
「禁児……。イヤや……ほんまにごめん……禁児……」
後に残されたのは、綺麗に飾り付けられたケーキと食べかけのフィッシュバーガー。
そして泣き伏せるキャティでした。
(ククク……これでキャティは間違いなく俺の部屋に謝罪に来る。もし来なければ俺から訪ねてやればいい。今の状態のキャティなら変な意地を張る事は無いだろう。完璧だ! 完璧な作戦だぁ!)
そして、当の禁児はクックッと含み笑いを浮かべながら、廊下を一人歩きます。
あれ? どうしましょう。
本気で殺したくなってきましたよ、コイツ。
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