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『禁児君、今日は誘ってくれてありがとう!』
さて、キャティを泣かせたクズ野郎は、自室で悠々とギャルゲーをプレイしていました。
「ククク……。新しいパソコンを買って良かったぜ。キャティを頂く前に詩織里ちゃんでドーピングだ!」
この卑猥極まる言葉選びに思わず殺意が芽生えます。
『禁児君、映画楽しかったね!』
「そうだろそうだろ詩織里ちゃん。この後は勿論アレだよな? お子様禁止のあのシーンだよな?」
てか、アンタまだ16歳じゃないですか。
『でもごめんね、実は私、今から異人さんに連れられて行かなきゃならないの』
「ぬわにぃぃ! 異人さんに入れられてイッちゃうだと!?」
ぶっ殺すぞてめえ。
「しまった……。まさかの赤い靴ルート突入か……! どうすれば……どうすればいいんだい詩織里ちゅわん!」
もはやキャティを忘れて、夢中でマウスをクリックする駄目オタク。
あのキャティの涙を返して下さい。
『でも、これから表示されるURLをクリックして会員登録してくれれば、私ずっと貴方の側にいられるの! そしたら今夜私……。子供じゃないなら、分かるでしょ?』
なにやら危ない事を言い出す詩織里ちゃん。
アンタはチャットレディですか。
「マジかマジかマジかあああああ! 登録してやるぜ! これか!? "出会い・オンザロック"ってサイトでいいんだな!?」
「……禁児」
テンション最高潮の禁児に、後ろから声を掛ける者がいましたが、禁児は気付きません。
『そうよ! 今なら無料ポイントが5000もつくし、ポイントが無くなったらあなたの口座から自動的に引き落としてくれるから安心よ』
「よぉぉし! おっと、口座番号入力しなきゃならんのか。通帳通帳……と」
詩織里ちゃんに騙されて、奈落の底に落ちようとしている禁児が席を立ちます。
「……禁児……」
そこでようやく禁児は後ろに立つ人物に気付きました。
「ん? キャティ……どうしたんだ?」
どうしたんだじゃ無いですよ馬鹿野郎。
「……どうしても、もう一回謝りたかったんや。ごめん、禁児……」
しかし、余裕シャクシャクでギャルゲーに投じる禁児を見ながらも、キャティは涙ながらに謝罪します。
そんなキャティを見て、ようやく禁児は本来の目的を思い出したのでした。
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