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(ククク……。このくらいでいいだろう。そろそろ……)
しゃきん、しゃきーんっ!
刹那、そろそろ攻めに入ろうとした禁児の耳に響く爪の音。
「……えっ!?」
慌てて振り返ると、そこには虚ろな瞳で爪を振り上げるキャティがいました。
「……禁児ぃ、ウチ、もう我慢でけへんのぉ……」
キャティが、振り上げた爪をゆっくり動かします。
「いやぁぁぁぁ! そういう愛憎サスペンスいらないからあっ!」
慌てて、デスクに突っ伏して震える禁児。
ひゅんっと風を切る音が聞こえました。
次の瞬間、切り裂かれたのは禁児の目の前にあったパソコンでした。
「うぎゃあああ! 俺のパソコンが! キャティ、なにを……」
振り向いて抗議しようとする禁児の背中を、キャティの右手が抱き締めます。
「いっ!?」
いきなりの不意打ちに固まる禁児。
僅かにまだ離れているキャティの身体から、微かな衣擦れの音が禁児の耳元に流れます。
「……今、ウチどんな格好しとるか分かる?」
キャティが濡れるような声でそう言って、ゆっくりと自分の身体を禁児の背中に押しつけます。
そこに、今までキャティが着ていたシャツの隔てはなく、熱くなった肌の温度と柔らかな感触が、禁児のたった一枚のシャツ越しに伝わりました。
「……なぁ、禁児ぃ。ウチ、おかしいんよ……。もっと、もっとくっついてたいねん……」
艶めいた声が熱い吐息となって、禁児の耳と首筋を心地よく撫ぜます。
そして、背中から回されたキャティの右手は、禁児のシャツのボタンを一つずつ外していました。
硬直したままの禁児が、ぐびりと生唾を飲み込みます。
やがて、禁児のシャツが完全にはだかれた頃、キャティの右手が禁児の顎に添えられ、優しくその向きを自らへ導きます。
禁児の瞳と、潤んだキャティの瞳が見つめ合いました。
そして、一瞬きゅっと唇をつむんだキャティが、決心したようにゆっくりとそれを開き、禁児に向かってゆっくりと囁いたのです。
「……ゲームでするくらいやったら……」
キャティが潤んだ瞳を更に細め、禁児の顔を自らの胸に埋めます。
「ウチと……しよ?」
そう言って、キャティが禁児を、デスクの横のベッドに押し倒しました。
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