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次の瞬間――。
「キモメェン~? なに施錠ぶっこいちゃってんのかしらぁ?」
ドンッ! ドンッ!
「ひ、ひぃぃぃぃ……」
慌てて鍵を閉めた扉の向こうから聞こえるロクナの声。
遺書書く暇なんてありません。
「た、助けてキィナぁ! キャティ!」
「……犯した罪の報いは受けないといけませんよね、禁児さん♪ ちなみにキャティさんには洗脳解除の薬を飲ませました。今はぐっすり眠ってますよ」
笑顔で語るキィナに、禁児の顔色がさーっと青ざめました。
「頼むよキィナぁっ! このままじゃ俺、ロクナに殺されちゃうよ!」
「大丈夫ですよ、禁児さん。死んで天界に行ったら、私がずっと面倒見てあげます!」
「怖いって! お前いつからそんなキャラになったんだよ!」
笑顔を浮かべながらも、瞳は冷たいままのキィナ。
どうやらマジギレモード一直線のようです。
「くそっ! 死んでたまるかぁっ!!」
キィナを懐柔する事を諦めた禁児が、窓から外に飛び降ります。
――が。
「な、なんだ!? 糸が……くそっ!」
窓の外にはびっしりと張り巡らされた糸。
禁児はそれにかかって宙吊りになります。
そして――。
どっごぉぉぉん!
ドハデな音を立てて砕け散る扉。
そこから現れたのは勿論、蜘蛛の足を生やしたロクナでした。
「キキキキキ……。かかったかかった。 間抜けな獲物がねぇ……」
既にどでかい竜巻を携えたロクナが、ゆっくりと禁児に歩み寄ります。
「ご、ごめんなさいロクナ様!! クズの分際で調子こいちゃってすみません!」
プライドとかそんなもんは全て捨てて、禁児が懇願します。
「ねえ禁児。アンタがすり替えたこのふざけた薬のせいで、私がどんだけ恥かいたか分かる?」
「痛い痛い痛い!」
禁児にみしみしとアイアンクローをかましながら、ロクナが言います。
「ひっかけた男が、レストランの中で……。今思い出しても腹立つわぁ……」
相手の男が可哀相でなりません。
「さて、禁児。覚悟はできてるわね? ロクナ特製、『108地獄の殺人術』を全て体験させてあげる……行くわよぉ! 第一の地獄、糸裂き地獄!!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!」
その日、禁児の部屋から悲鳴が絶える事はありませんでしたとさ。
めでたしめでたし。
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