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からんからーん
ふと、店内に客が入って来たことを知らせるドアベルの音が鳴り響きます。
先程から何度も聞いているその音。
しかし、今回はやけに大きく聞こえました。
それもそのはず、先程までざわついていた店内が、突然水を打ったように静かになったからです。
その静寂の原因は、今入ってきた客の容姿が、あまりに美しいからに違いありませんでした。
「あの人、もしかしてアフロ先生ちゃう?」
「ひゃー! き、綺麗です……」
わざとらしく思えるほどのキャティとキィナのやり取り。
ですが、今のアフロ先生を見れば、誰しもが同じ反応をするでしょう。
いつもは後ろで結わかれている髪も、今は呪縛を解き放たれて流れるように広がります。
普段のボサボサぶりとはうってかわって、綺麗に整えられたそれは、歩みに乗じて優雅に揺れます。
いつもは不機嫌そうに歪んでいる瞳も、今はシャドウやらマスカラやらが施され、キュートなまでにパッチリと、その澄んだ青い瞳をアピールします。
ちなみに、その美しい瞳を遮る眼鏡も今は外されていました。
しかし真っ赤なルージュが引かれた口許は、彼女本来の強さを強調し、軟弱な男は寄せ付けない威風堂々な雰囲気を醸し出しています。
てなわけで、周りに座る野郎共はアフロ先生の美しさに見とれながらも、思い切った行動に出れないでいました。
さて、当のアフロ先生は素早くキャティ達の席を見つけると、近くのウェイトレスに注文を告げ、モデルのようなしなやかな足取りでキャティ達の許へ向かいました。
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