第三話:キィナの羞恥旅情、命を懸けたスカート防衛戦!

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  「ふぇぇっ!?」 バッグの中を覗いた私は、思わず大声を上げてしまいました。 「ん? どないしたん?」 大きなタオルを身体に巻いたキャティさんが私のカバンを覗き込むのに気付き、私は慌ててカバンの口を閉めました。 「な、なんでもありませんよ、あはは……」 恐らく、凄くぎこちなかったであろう私の笑顔。 キャティさんは訝しげな表情を浮かべながらも、自分の着替えに戻りました。 さて、それよりも大変なんです。 私の人生最大のピンチが訪れてるんです。 落ち着いて、まず状況を整理しましょう。 私たちは今日、プールに来たんです。 ノインさんが泳げない(漏電的な意味で)ため、プールは今まで見送ってたんですが、「ゴムボートで浮いてるだけでも楽しいから」というノインさんの優しい言葉を受けて、皆で初めてのプールを楽しんでいたわけです。 嬉し恥ずかし水着披露から、競泳、ウォータースライダーなどを楽しんで、今まさに帰りの着替えの真っ最中なんです。 そして、何が大変なのかと言いますと、無いんです。 私の替えの下着が無いんです。 行きは水着を着たままでしたので下着は要りませんでした。しかし、帰りは替えの下着が勿論必要です。 確かにバッグに入れたと思ったんですが、ゴタゴタしてたので入れ忘れた可能性もあります。 非常にまずいです。 今日に限って白いTシャツに、ミニスカート。 ブラもパンツも着用しないでこんな恰好をしようものなら、それこそ大変な事になりそうです。 しかし水着は既にビショビショです。 帰りは電車も使います。 水着で席を濡らそうものなら、お漏らしとかと間違われて、それこそ人生終了です。 でしたら……。 私は決意しました。 下着を着けずにシャツとミニスカートを纏います。 家に帰るまでの間だけ、守りきれればいいんです。 そうすれば何事も無かったように誤魔化せます。 そう、家に帰るまでの間だけ。 その間は、風にも、禁児さんにも、ロクナにも。 このスカートだけはめくらせません! 私の戦いが、今幕を開けたのです。  
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