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「ちぃっ! 遅かったか……」
勇んで部屋を出た禁児でしたが、ロクナは既に出掛けてしまったようで、もう玄関に靴もありませんでした。
「畜生! ロクナを逆に犬にする計画がぁ!」
禁児が壁を叩いてくやしがります。
その時、
「あ、禁児。こんな所におったんか。探したで~。ケーキ作ったんやけど……良かったら食べてくれへん?」
魚柄のエプロンを纏い、鼻先にクリームをつけたキャティが、禁児の前に現れました。
(そうか……。やはりキャティか……。ククク……)
それを見た禁児の瞳が、それはもう邪悪な光を放ちます。
「おお! マジか!? 食べるぜ食べるぜ!」
禁児がポケットの中の媚薬を確認しながら、元気よく返事をしました。
「ほんま? 嬉しいわ! じゃあ早速来ぃや。もう準備出来とるで!」
キャティが嬉しそうに禁児の腕を引っ張ります。
「おう! 楽しみなんだぜ!」
(ククク……。ケーキは前菜。メインディッシュはキャティ、お前だぜ?)
目の前の禁児が邪悪な思考を巡らせている事など露知らず、キャティは禁児をキッチンまで誘導し、笑顔でケーキを切り分けるのでした。
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