Aちゃんの家

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Aちゃんの家

「ねえ、夏休みうちに泊りにこない?」 夏休み三日前、Aちゃんから誘われた。   チィコの事件から3ヵ月。 あの事件以来、Aちゃんはクラスで少し浮いた存在になっていた。 ただ僕らは相変らず仲が良かったし、だからこそ 「うん、いいよー。」 なんて僕も即答した。 そして夏休み。僕はAちゃん家の呼び鈴を鳴らした。扉を開けてくれたのはAちゃんだった。 「いらっしゃい!とりあえずお部屋いこっか。」 Aちゃんが階段に足をかけながら呼んでる。 「うん。おじゃましまーす。」 家の中は静かだった。 「あっ、今日お母さん遅いから誰もいないよ。」 初めて入る女の子部屋しかも二人きり…。当時から少しマセてた僕はそういわれて少しドキッとした。 でもそんな気分は一瞬吹き飛ばされた。階段をあがろうとしたとき、 「ガタンッ」玄関にあったスリッパ立てが倒れた音だった。 僕からは1メートルくらい離れている。ちょっとびびったが仕方なく立て直す。ただそれはかなりしっかりした造りでそう簡単に倒れるようなモノには見えなかった。 僕は少し不思議に思ったがあまり気にせずに階段を上った。それにこれはこの日起きた出来事のほんの始まりにすぎなかった。
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