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風がさわやかな5月の昼下がり。俺はお弁当を食べ終わると、いつもの場所に遊びにいく。そこは学校の保健室。
「せんせー。おはよう」
俺は勢いよく保健室のドアを開ける。と…
そこにはいつもと変わらない大好きな人がいる。
「あ、夏貴ちゃん。おはようございます。」
この学校の養護教諭、須王雪夜先生。
俺はこの人が大好きだった。確かに俺も男だし、先生も男。間違っているかもしれないけど、この気持ちはうそじゃない。
「今日も元気ですね。コーヒー飲みますか?」
「うんっ☆」
先生はほんとに優しくて、毎日のように遊びに来る僕を嫌がることなく迎えてくれる。あの時だって…
先生との初めての出会いは中学2年のとき。先生が教育実習で俺の学校に来たときだった。
俺はその日体調があんまりよくなくて、フラフラしながら廊下を歩いてた。
すると前から来る人に思いっきりぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい…前見えてなくて」
俺が慌てて謝ると、その人は俺の顔をぐいって持ち上げた。
怒られるっと思って、俺は目を瞑った。でもその人はそっ…と俺のおでこに手をあてて、
「大丈夫ですか?熱ありますよ」
って、聞いたんだ。
その声の人の顔を見ると、その顔には見覚えがあった。
『あ、新しい養護教諭の先生だ…』
って思った瞬間、魔法がかかったみたいに体の力が抜けて、その場にしゃがみ込んでしまった。
先生はなんの躊躇もなく、俺を抱きあげてくれた。
初めて男の人に抱っこされて、なんかすごく恥ずかしかったけど、白衣から伝わる先生の温もりがあったかくて、思わず抱きついてしまった。
俺を心配してくれたのも嬉しかったけど、それ以上に俺に熱がある。ってことに気付いてくれたことが嬉しかった。
そのまま先生は保健室まで俺を抱き抱えてくれて、ベッドに寝かせてくれた。
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