憧れの人

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「熱、計ってみましょうか」 先生は俺のおでこにもう一度手を当てると、体温計を取りに行ってしまった。 温もりがすっと引いてしまう感じがして、俺は無性に寂しくなった。 熱を計ったら38.7℃もあった。 なんか人って、熱があるってわかったとたん弱くなるのか、俺の体からも力がなくなり、だるさが膨らんできた。 「おうちに連絡がつきませんでした」 先生がそっとベッドに近付いてくる。 「たぶん…仕事行ってる」 俺の両親は共働きで、母さんも夕方まで帰ってこない。熱が高いからって、先生は母さんが帰ってくるまで保健室で寝てなさいって言ってくれた。 それから俺はベッドで寝かせてもらって、先生は時々様子を見にきてくれた。 水分持ってきてくれたり、氷で冷やしてくれたりしてくれた。 「大丈夫ですか?」 って心配そうに俺の顔を覗いてくれる先生に、俺は毎回ドキッとしてた。 今思うと、たぶんあの日から先生を好きになってた気がする…。 いつもは家にいない両親にも、その日だけは感謝してた。 「コーヒー入りましたよ。」 妄想(笑)にひたっていた俺に、先生がそっとコーヒーを差し出してくれる。 このコーヒーを飲みながら先生と他愛もない話をするのが、俺にとっては幸せな時間だった。 でも…
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