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ガチャ...
私は、誰も居ない屋上のドアを開けた。
冬なので、風が冷たいが誰にも聞かれたくないので仕方がない。
私達は、ドア付近に腰を下ろした。
『で、何でお前も来んの??』
悠稀が仁に言った。
『悠稀だけ夜姫ちゃんとラブラブしてずるい!!』
(この人はアホなのか??)
私はそう思って居た。
『お前ただでさえテストヤバイのに、授業サボるなよ!!』
悠稀がそう言うと、仁はふて腐れていた。
「じゃぁ、今日しっかり授業受けたら一緒に帰りませんか??」
私が仁に営業スマイルを向けると、彼は満面の笑みを浮かべ「分かった!!」とだけ言うと、屋上を飛び出して行った。
『ふぅ、やっと居なくなった。』
「えぇ、そうね。」
そう言葉を交わすと、しばらく沈黙が続いた。
先に口を開いたのは、彼の方だった。
『さっきの、何だったの??』
「あれは、私の力の一つで、空気中の水分を手の平に集め氷を作り、それを相手の目の前で壊すと、その人の記憶を消す事が出来る。
彼女達には、私とのやり取りを忘れて貰っただけ。」
彼は私の言葉を聞き、何かを考えて居るようだった。
彼を信じきっている訳じゃない。
何かあれば記憶を消すまで。
私はそう考えて居た。
『その力は、生れつき??』
「分からない。
私は自分が産まれた場所、育てられた家、親の記憶がない。
目が覚めたら、研究所に居て、気が付いたらこの力があった。
過去の記憶がない私は、ずっと研究所に居て、外に出る事も許されず、毎日戦いの訓練や、力をコントロールする訓練をさせられてた。」
『何のために??』
「人を殺すため。」
彼は、私の言葉を聞いて言葉が出ないようだった。
「私は、何も知らずに人を殺させられて来た。
いつしか私は、"氷姫"と呼ばれるようになった。
その時の私は、冷酷で、冷たい目をしていたらしく、その名が付いてたんだ。
中学3年の時、研究所の行動や、私達の扱いに不審を抱き、影で今まで殺して来た人を調べた。
そしたら、全員共通する事があったんだ。」
『共通??』
「そう、彼等全員がその研究所を否定する者ばかりだった事。
だから、邪魔な彼等を私達に始末させていた。
それを知った私と、数人で研究所を抜け出した。」
私がそう言い終えると、彼はまた何かを考えて居た。
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