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夜姫が転校して来て、1ヶ月がたち、期末テストの時期がやってきた。
仁は相変わらず、俺に勉強を教えろと煩く言って来る。
『悠稀、勉強教えて』
「仕方ねぇなぁ」
『サンキュー⤴
俺の家でいい??』
「あぁ、学校終わったらお前の家ね」
『オッケー⤴』
毎回テストが近くなると、決まって仁の家に連れて行かれるので、俺自身もなんだか慣れて来た。
授業が終わって、放課後になると毎日のように、仁は夜姫に一緒に帰ろうと声をかけている。
毎回断られているのに、俺はよく飽きないなと思うが、彼は好きでやっているのだろうから何も言わないでいる。
『...ゆぅきぃ😢』
門に向かって歩いて居ると、仁が半泣きになりながら言ってきた。
「な、何だよ💧」
『何で夜姫ちゃんは、一緒に帰ってくれないのかな??😢』
「さぁ、興味ないんじゃない??(笑)」
『まさか!!
既に他の男に取られたんじゃ!!!😱』
仁が勝手な妄想を膨らましている。
(てか、こいつ彼女居るのにそんな事してていいのかよ・・・💧)
俺がそんな事を考えていると、前からスーツを着た男が歩いて来た。
気にせず通り過ぎようとした時、男が声をかけて来た。
『失礼ですが、"夜姫"と言う美しい女性をご存知ありませんか??』
明らかに怪しい雰囲気を漂わせている男に、俺は何かあると思い、とっさに嘘を言った。
「夜姫??
さぁ、聞いた事ありませんけど。」
『俺もないなぁ』
仁も、察したのか俺に合わせてくれた。
『...そうですか。
いきなりこのような事をお聞きしてしまい、申し訳ありませんでした。
では、失礼致します。』
男はそう言うと、丁寧に頭を下げ去って行った。
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