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  「ハァ...ハァ...」     息を切らしてバイト先に現れた俺を見て、店長が駆け寄って来た。     『大丈夫か?? まだ、時間あるから走って来なくてもよかったのに。 取り敢えず、奥で時間になるまで休んでなさい。』     店長は優しくそう言ってくれた。   俺が奥で休んでいると、店長が水を出してくれた。     「ありがとうございます。」   『いいんだよ、君はよく働いてくれて、こっちは助かってるんだ。 たまには、お礼をしなきゃだしな(笑)』     店長は笑いながら、そう言った。   このコンビニは、国道沿いにあって、夜にはたくさんのトラック運転手の人が来るため、この時間帯はかなり忙しくなる。     店長は優しいくFriendlyという性格だからか、「接しやすい」と、客にも評判がいい。   水を飲み終えた俺は、コンビニの制服に着替えレジに立っていると、一人の客が入って来た。     「いらっしゃいませぇ」     俺はいつものように、挨拶をした。     『...悠稀さん??』   「え??」     いきなり自分の名前を呼ばれたため、びっくりして振り向くと、そこには夜姫が立っていた。     『バイト??』   「うん、父親が単身赴任だから、欲しい物とかを買うためにね」   『そうなんだ、大変だね』   「慣れたから(笑)」     俺の言葉に、彼女は「そっか」とだけ言って笑った。   (あれ?? なんか違和感が...)   ふと、彼女の違和感に気が付いた。     「タメ口で話してるね」     いつも敬語で話していた彼女が、タメ口で話していたから違和感があったのだ。     『うん、悠稀さんがいつも話しかけたりしてくれてたから、段々慣れてきたの』     彼女は、そう言って笑った。     「じゃぁ、俺の事は悠稀って呼んでよ」   『うん、じゃぁ、私の事は夜姫って呼んで』   「うん」     俺達は、名前で呼び合う仲になった。
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