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乾いた風が吹き抜けた。
何も無い場所。
砂しかない場所。
どこまでも続く茶色い世界。
この草木が一本もない砂漠に、まだ少年ともいえないほどに幼い子どもが立っていた。
彼はフードを被り、フードのついた茶色の外套を纏い、手には細長い棒状のようなものを持っていた。
強い乾いた風が吹きつけ、その小さな外套をはためかせ、フードを取り去った。
少年の顔があらわになる。
それと共に、生臭い匂いを彼のもとに届けた。
その臭いに、彼はその冷たく凍るような美貌を歪める。
誰もいない砂漠。
そこに立つ幼い少年の足元には、無数の死骸が横たわっていた。
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