第3章

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   夜…街が寝静まる頃、私はある人気の少ない行きつけの酒場に来ていた。 「先生、あの噂…嘘じゃないかも…。」 隣にいるディジーが言う。 私とディジーそしてレイは3人でバーカウンターに座っていた。 「じゃあ……やっぱりあのロムの再来なのか?」 レイがグラスに入っている酒を飲み干してから聞いた。 「…判らない。……でも、獣人の姿をした王がこのネツァワルを平定に導いてるのは確かみたい……。」 「……獣王ロム…。」  あのモンスター事件のあと、落ち着いたこの街で次第にある噂が広まってきていた。 「獣王ロムの再来」 獣王ロムというのは大昔、このネツァワルを長年に渡って善政で導いてきた伝説の王の事だ。 その姿は人にあらず、獣の姿をしていたことから獣王ロムの名で知られている。  噂では、ロムと同じ獣人の王が現れ、その風貌から獣王ロムと重ねて支持する者が増えている。 「近々…ここにやってくるわね…。」 そう…私達の居る街はネツァワル国の首都。 つまり、ここの城に入城しなくは真のネツァワル国の国王は名乗れない。 今現在、首都のベインワット城には王は居ない…。 だが、そう簡単には王とは認められない。 …私達も、なんらかの方法で、入城阻止に参加しなくてはならなくなるだろう…。  
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