826人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
「……約…束?」
「そう!約束」
離れていても淋しくないようにと、そう考えて頭に浮かんだのはこれだった。
約束さえあれば、それを信じ続けてさえいれば、不安なんかに屈しない。
なにより、エルフィスにも人を信じることを学んでほしいから。
誰かを信じて、その人がその信頼に応えてくれた時の喜びを、わかってほしい。
それにはフェイトが約束を絶対に守らなければならないのだが、エルフィスのためならどんな約束でも守れるという自信が、フェイトにはあったのだ。
「じゃあ約束その1!」
右手の人差し指をビシリと立て、エルフィスの顔の前に突き付けると、どうやら内容は考えていなかったらしい。
しばしの沈黙と、何か考え込むような、ふよふよとした視線。
それが暫く続いた後、どうやら考えがまとまったらしいフェイトは青い瞳を真っ直ぐと捉え、ハッキリとした口調でこう告げた。
「約束その1は……
次にエルフィスに会った時、絶対にプロポーズする!!」
「…え゛!?あの……プロポーズの意味、わかってる?それに……約束ってお互いに守るもの……だよね?」
「エルフィスはオレが約束守ってくれるだろう、っていうのを信じてくれてればいいからさ♪それにプロポーズの意味もわかってるって♪」
「………(ていうか……男にプロポーズされても嬉しくない……)」
ごもっともなエルフィスの意見だが、そのプロポーズを断るかどうかまでは約束に含まれてはいない。
約束自体は『フェイトがエルフィスにプロポーズすること』なので、エルフィスがプロポーズを断ったとしても、それはエルフィスが約束を破ったことにはならないだろう。
それならば別に構わないだろうと判断したエルフィスは……
「…………まぁ……いいと思うけど……」
「マジで!?」
「…………うん。(断ればいいんだし)」
そう言ってその約束とやらを承諾した。
……エルフィスが心の中で断ると決めているのも知らないで、無邪気に喜んでいるフェイトがなんだか悲しい。
「じゃあ2つめ!!」
「え?……うん……」
すっかりご機嫌なフェイトは今度は中指も付け足してエルフィスへと突き付ける。
しかし今回はどうやら最初から決まっていたらしく、迷うことなくすぐに告げてくれた。
「約束2つめは……
オレだけはずっとエルフィスの味方だから、何があっても守り抜く!これに決まり!」
最初のコメントを投稿しよう!