約束、ふたつ

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あーあ、マジでオレってついてない。 ネオンの言葉を聞いて真っ先にそう思った。 だってさ…… 「そういえば…昨日新しく一年が入ったぞ」 よりにもよって、なんで昨日なわけ? そもそもマルオのやつがオレに掃除なんてさせるから、こうやってタイミング逃すんじゃんか。 「なっにー!?そんな楽しいイベンツが!? くそオレも参加したかった…」 やっぱさ、気になんじゃん。 1年生の実力とか、どういう奴か、とか。 それにいくらマルオのせいだっつっても、昨日はオレ無断欠席してるからさ。 やっぱし気が引けるっつーか…。 「イベントなどではない。ほれ、そこにおる三人組みじゃ」 「ん?おぉ!こんな近くに!」 ネオンの奴、こんな所でなに一人で突っ立ってんのかと思ったら…… ネオンの足元。 そこに座り込んでる奴が二人。 それから寝転がってる奴が一人。 自転車の陰にいて気付かなかったけど、どうやら前からここにいたらしい。 ってことは、こいつらが1年生……なんだよな? 「あ、オレ〈なんでも屋〉の二年生のフェイト。 夜・露・死・苦ぅ!!」 「さ、最悪だ…」 ゲームを手にした黒バンダナの1年生は、ポツリとそう呟いた。 おいおい……いきなりそれはねーだろ。 てかこいつ、絶対にチビだよな。 まだ座ってるからハッキリとはわかんないけど、絶対にチビ。 横でゲーム覗き込んで寝転がってる緑頭の不良と比べてみても、確実にチビ。 なんか今年の1年生は不良系じゃね? なんで? そう思ってた矢先に…… 今まで後ろを向いてた金髪の1年生が、オレの方を振り返った。 そしてその瞬間、 オレの中で…… 何かが、起きた。 「…………。」 ……衝撃だった。 だって、マジこんな可愛い子、見たことない。 いや、なんだろ…… 可愛い、だけじゃない他の何かがあるような… よくわかんないけど、そんな感じ。 「フェイト?おぬし一体どうし…」 「可愛い……」 「……は?」 思わず発した声に、ネオンが眉を寄せる。 でもそんなのオレには関係ない。 「この子…可愛い」 気が付けばそう、繰り返していた。 「ネオン…この子の名前は!?」 「……ライ…じゃが…」 「ライ…ライか… オレと結婚してくれ!ライ!」 聞いたら笑うかもしんないけどさ、 運命なんだって、そう思ったんだ。 ……END
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