花は折りたし梢は高し

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「おーいライ!こっちこっち!」 「う、うん……」 食堂のおばちゃんからラーメンセットを受け取ったライは、シドの声がする方へと小走りに駆けていった。 中央の長テーブルを占領して全員で食べている女子とは違い、男子は少人数でバラけて食べている。 清潔感溢れる白が基調となった広い食堂の片隅。 その一角の小さな四角いテーブルで、シドがこちらに向かって大きく手を振っているのが見える。 天井のガラス窓から差し込んでくる日の光が春の陽気を感じさせ、心地よくライの身体に染み渡っていった。 「ほら、ライ。とりあえずコイツ連れてきたから」 ライが到着するなりシドは向かいの席に座っている人物を指差す。 シドから視線を移動させると、そこには青い髪を後ろに結わいた男子生徒が、物珍しげにライの顔を見つめていた。 とりあえず立ったままもなんなので、ライはおぼんを置くとその男子生徒の隣に腰掛ける。 「おまえライっていうんだろ?シドから聞いたよ。オレはジェイだから。これからよろしくな」 「え?……あ、あぁ……」 座るなり話し掛けてきた青髪の男子生徒……ジェイに、ライは少し戸惑ったものの何とか頷いた。 ……こういう雰囲気には慣れていないせいで、なんだかすんなり友達ができてしまうことに不安が募る。 “黒猫”時代は食堂で席を共にする人なんて滅多にいなかったのだが。 「あと1人分席が空いてるよな……どうする?」 「誰かテキトーに呼んだら?なぁ?」 「え!?……あ、うん!」 シドの隣。 つまり、ライの向かいの席。 そこが空いていることを気にかけたシドに対して、ジェイは提案と共にライに話を振ってくる。 突然話を振られたライはただ同調することしか出来ず、黙ってシドとジェイの会話に聴き入っていた。 するとどうやら食堂に他の男子生徒が入って来たらしい。 2人は会話を中断し、視線だけでその男子生徒を追い始める。 食堂の入口に背を向けているライは、ジェイのように後ろを振り返ってまでガン見する勇気はなかったため、勧誘は2人に任せてとりあえずお茶でもすすっておくことにした。 「なぁ、一緒に食おうぜ?……ってグレン!無視すんなよ!」 「……ちっ!てめぇはいちいちウゼぇな」 シドの声の次に聞こえたのは、どこかで聞き覚えのある声。 それとほぼ同時にライの向かいの席にはおぼんが置かれ、ライは思わず顔をあげる。
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