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ガラリと教室のドアを開けると、いきなり黒板消しと水の礫がスクリめがけて飛んで来た。
スクリは横に居るクレイドの制服を引っ張り、自らの正面に立たす。
「はああっ!? やっぱ俺に恨みでもあるんだ――イタタタタッ!?」
「恨みは無いよ。ただ僕は痛いのが嫌いなだけだよー」
黒板消しが顔に当たり、白い粉末がクレイドの顔全体を包む中、水の礫が掠めた左手の甲からはジンワリと血が滲んでいる。
入室と同時に攻撃してきた2人は共に険しい顔付きで、クレイドとスクリを睨み付けていた。
「遅いぞお前等。さっさと席に着け」
黒板消しを投げつけてきた張本人は2人に辛辣な言葉を送り、黒板へと向き直る。
この皺(しわ)が顔を覆い始めている白髪の男性は、このネィヴェルで唯一魔術を教えている先生だ。
身長180cm以上の大男だが、皮と骨しか無いと囁かれる様に、筋肉に至っては皆無に等しい。
昔は名のある魔術師だったらしいが、今ではその栄光はすっかり陰を潜めている。
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