始まりの鐘

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  そんな危機に直面した学校は、ただ今夏休み特別講習の真っ最中。 15歳以上の生徒達が学校で1週間住み込み、魔術の授業が行われる。   アザーカルは他国に比べ、随分と魔術が発展していて、人口の9割以上が魔法を扱える。 と言っても、その大半が基礎魔法くらいしか使えない訳だが。 幼い頃から魔術と友に暮らして来たこの学校の生徒も全員魔法は使えるが、中級魔法を扱えるのは2人のみ。   少ない――なんて訳では無い。 寧ろ2人も居る事事態異例なのだ。 それだけ魔法を扱うのは困難な事で、才能と努力が求められる。   「スクリ、さっさと起きねぇとアイナの地獄飯抜き祭りの犠[いけにえ]にされるぞ」   1人の男子が下の階に降りる前にドアをノックするが、中からは小さなイビキしか聞こえて来ない。 男子はドアの前で念仏を唱えて、下で待つ仲間の元へと向かった。
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