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「アイナー。そんなとこで止めちゃクレイドは反省しないよー?」
寝ぼけ顔のスクリがそう言うと、アイナは「それもそうね」と納得して詠唱を再開する。
「えぇーっ!? スクリ、お前俺に恨みでもあんのかっ!?」
「無いよー。なんか面白そうだったから」
エヘッと笑う幼さ残したスクリの顔は第3者には天使の様に見えるだろうが、クレイドには悪魔の微笑みにしか見えなかった。
「いやいやいやいやっ!! 面白そうで人の命を危険に晒すんじゃねぇよ!!」
「んー……、まぁ頑張って」
スクリは赤茶色の髪を後ろで結いながら、見えない壁の中で必死に暴れているクレイドにエールを送る。
「何で他人事!? お前が事の発端じゃん!!」
「事の発端はクレちゃんじゃんか。僕じゃないよ」
「確かに俺かも知れねぇけど!! つかクレちゃんて呼ぶな――ウワアアアッ!?」
クレイドを中心に半径1mくらいの火柱が上がり、クレイドを炎が包み込んだ。
自らの魔法の威力に満足気に笑うアイナに恐怖を感じながら、クレイは自分の身の安全の確保に取り掛かった。
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