つぼみ

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それは川土手に植えられた垂れ桜 まだまだ固く閉じたつぼみが微かに色づき始めて 春の気配がそこらかしこに感じられる 僕はまだまだ見ぬ彼女と出会ってなく 今日もバイト先へと急ぎはしる いつもなら気に止めることのない並木外れのベンチに ポツンと忘れられた手袋 小さなフリルで飾られたその手袋の主は 川土手の並木を見上げ 何かを待っているように 『すみません…手袋君のですか?』 『えっ……あっ!ごめんなさい』 頬に伝わる涙は僕の見間違い? そんな出逢いの春
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