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どっちに動くかって…
私はもう雄馬と付き合ってるのに。
また天秤にかけるようなマネしたくないよ。
不安そうな表情が見て取れたのか、裕二さんは微笑みながら運転席から手を伸ばし、私の手を握った。
「男って、春花ちゃんが思ってるほど柔じゃない。
全力でぶつかって振られても、意外とすがすがしいもんだよ。
まぁ…冷静に見極めてやって?」
裕二さんの微笑みにつられて、私も微笑む。
そして裕二さんの車は走り去っていった。
冷静に見極める。
…とは言ったものの、私はそんな人間じゃないのに。
佐伯先輩の気持ち、聞かない方がまだマシだったかも。
佐伯先輩の気持ち…
『本気で惚れてるから』
佐伯先輩の言葉を不意に思い出して、思わず胸が高鳴ってしまった。
…今夜もまた眠れそうにない。
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