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罪悪感。
何だかとてつもなく傷つけている気がした。
私との結婚を義務だと言った先輩が、ほかの女と遊んでる先輩が、傷つくわけないのに。
「…分かった。
だったら俺らが関わる意味もないよな」
先輩の言葉は、まるで冷たくて、ナイフのように私の胸に刺さる。
「行けよ」
そう言うと、先輩は何でもないようにコップに水を入れ、それを飲み干してから奥の部屋へ戻っていった。
そうだ。
先輩にしてみればこんなこと何でもない。
きっと私のことなんてすぐに忘れるんだ。
私はカンカンと、先輩のアパートの階段を下りていった。
「…大丈夫?」
ふと顔を上げると、階段の下では雄馬が心配そうに私の顔を見ている。
子犬みたいなやつだな。
私は笑みを浮かべた。
「当たり前じゃん。
あっさりだったよ。
未練も何もないって感じで」
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