由美ちゃんの初恋

8/8
前へ
/61ページ
次へ
「由美ちゃん…?」 ハッとして由美ちゃんは現実に戻ってきた。 「え?」 振り返った顔をじっとみつめる。ほんのり頬が赤い。   「由美ちゃん…惚れたね?」 ニヤリ 「え!?」 大きな目がさらに大きくなって振り返る。 「惚れたね」 ニヤニヤ 念押しする。   「だ…誰によ?」 動揺してますよ、あなた…。   「あの子」 プールサイドの彼を思いっきり指した。   「ちょっ!ちょっと瞳子ちゃん!!指差さないでよっ!違うわよ。やめてよ」 あたふた、あたふた、由美ちゃんはかわゆい。 「見たことない子がいてたから、ちょっと見ていただけじゃないの。」 「それだけ?」 由美ちゃんの目をじっと見つめる。 「惚れたはれたって、ばかばかしい。私は恋なんてしないのよ」 「ふぅん」 意味ありげに見つめてみる。 「な…なによ?」   あくまでも否定する由美ちゃん。 でもね、世間ではそういうのが一目ぼれってゆうんだよ!! もぅ。由美ちゃんてば気付いてないんだろうな…。 さっきからずっと、彼を目で追いかけてること。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加