Prologue

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遠い遠い記憶の中…。 「あぁ…そうだ…あぁ……何だと!?…わかった…」 顔全体を隠すような覆面をした男が、何やら電話をしている。 「このガキ、身寄りがいないらしいぞ?どうする?」 やがて、電話を終えた男が、視線を別の方向へやりながら、いらいらとした様子で仲間と思われる男へ尋ねる。 「まじかよ…どうすんだよ?」 もうひとりの男も、視線を一人目の男と同じ方向へやる。 その視線の先には…。 「んむ~!む~!」 小学校高学年ぐらいの女の子がいた。 手足は縄で縛られ、口はガムテープで塞がれている。目には涙がたまり、体は小刻みに震えている。 「どうするってお前、消すしかねぇだろ」 「はい決定~消すぞ~」 4番目に声を出した男が、刃物らしい物を取り出し、少女の首元に当てる。 「!?~!」 少女が、声にならない悲鳴を上げる。 「ま、待てよ!何も消すことは…」 「消すしかねぇだろ!このガキが通報とかしたらどうすんだよ!?」 「わ…わかった。」 「じゃあ、気を取り直して…」 (私…死ぬの?…嫌…死にたくない…誰か…誰か助けて…) 死への恐怖感、苦しみ……。そして、少女の目にたまっていた涙が、一筋に流れ落ちる。 「バイバイ」 少女の首を、刃物が傷つけようとした、その時… ドゴッ!!! 「ぐぁ!?」 どこからか飛んで来た石が、刃物を持った男に直撃し、気絶させる。 「なっ!?」 男達が明らかに動揺する。が…。 「ここだよ、こ~こ」 バキッ!! 「「!?」」 突然現れた少年に殴られ、一撃で二人が気絶する。
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