変わらぬ月

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「満足しているさ。陛下の御側で、陛下を御守り出来るのだからな。何を不満に思う? 龍士としての誉れだと思わないのか?」  葵は明のいつもの問いに、いつもの答えを返す。 「そんな甘いことを……だから貴様は……」 (こうなると、話が長くなるな)  葵は身構える。この話をするといつもそうだ。明が酔い潰れるか、葵が折れるか、どちらかでなければ終わらない。  そのことを誰よりも葵は知っている。 (だから貴様は甘いんだ。だろ?)  いつも言われる言葉を思いだし、今日は何と言い返そうかと葵は思案を巡らせている。 「……いや……やめておこう。貴様を探したのは別の用件だ」  意外な言葉が返ってきた。いつもの様に舌戦になると思っていた葵は、少々拍子抜けし、驚きの表情へと変えていく。 「なんだその顔は?」  葵の表情を見て、明の眉間にしわが寄っている。  葵の態度が気に入らなかったのだろう。 「また、お前の説教が始まると思ったんだよ。今日は酒と間違えて、水でも飲んだか?」
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