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葵は明をからかうように酒を飲む仕草をし、おどけてみせる。
「俺が酒と水を間違うわけがないだろう!」
明は声を張り上げ、語気には怒りを感じさせる。葵の言葉が相当頭にきたのだろう。
「冗談だ! そんな、真に受ける事ないだろう!」
葵は耳を両手で押さえ、いかにもやかましいと言わんばかりである。
「貴様が余計な事を言うからだ!」
語気をさらに強め、明の鋭い眼光は葵を捉えて離さない。
「わかった。わかった。俺が悪かった。で、別の用件とはなんだ?」
自分が不利だと悟ったのか、葵は話をそらそうにかかっている。
次々と葵への罵倒の言葉を考えていた明も、その問いに反応した。
「八起のじいさんが近いうちに赤眉に戻ってくるらしい」
「八起殿が!? 陛下の御命令か?」
八起と言う名を聞き葵は驚きと喜び、両方が入り混ざった声をあげる。
「いや、私用で近くまで来るらしい。そのついでだそうだ。文が届いた」
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