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ある夜
月の明るい夜
土から妖精が生まれた
土の妖精は醜い姿をしていた
土色のガサガサの肌
力のない脚
異様に大きな腕を
ぶざまに動かして
大樹をどうにか登り切った
土の妖精は
樹の上で体を震わせた
苦しそうに体を震わせた
それは産みの苦しみだった
背中が痛々しく裂け
傷口からぬるりとした体液がこぼれたが
土の妖精は
傷口を拡げるのをやめなかった
やがて
背中が裂けきった
そこには白い妖精がいた
土の妖精の背中から
生えるように
森の妖精が立っていた
繊細な肌をした
薄い羽を纏った
妖精の少年
まだ薄い皮膚は
風の通るたびに
しみるように痛んだ
けれど
少年は満足そうに
月を仰いで微笑んだ
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