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翌日
少年と少女は
きつく抱き合って
背中に生えた羽根で
大空を駆け巡った
出会えた幸運を喜んで
ぎらつく太陽の下
疲れのあまり
動けなくなるほど
心ゆくまで
この世界に生まれたことを楽しんだ
夜が来て
二人は誕生した樹の上で
時折おぼつかなくも
飽きることなく語り合っていた
そんな二人に
水を挿す音
二人の語らう隣の枝から
大きな激しい声
犯人は
あの色黒と小柄な妖精
二人は睦いでいた
誰の目も構わず
誰の耳も気遣わず
まるで世界に二人しかいないかのように
激しく睦いでいた
少年と少女は
口をきくのもやめて
互いに顔を合わせて
頬を紅く染めた
それほど激しく睦いでいた
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