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突然、フィネガン王の後ろから歓声がおこった。
さっきクネクネと歩いていったフラオン王が何を言っているかははっきり聞こえないが、両手をあげて喜びの声を上げているのが見えた。
あの独特の甲高い声が響きわたる。
その人混みの中心にはひときわ大きな人物がにこやかに話をしているのが見えた。
どうやらフラオン王が喜ぶような情報を話しているのだろう。
「なんでしょうか?」
「さて?
フラオン王の前にいるのは、ラースワウ城主ドレイク=ルフトのようですが、またなにやらあったのでしょうか?」
「なにやらとは?」
フィネガンは険しい顔つきに変わっていた。
「うわさゆえはっきりとはもうしあげられませんが、あまり良いうわさの持ち主ではありません」
「知っておいでなのですか?」
「はい、一度話したことはありますがあまりよい印象ではありません。
下克上の世にあって一番野心を抱いてる人物のように思えます。
自分の意志で王座についたビショット=ハッタとは馬が合うのではないでしょうか」
目配らせするようにドレイクはこちらを見た。
「では私はこのあたりで。
国のためにも良き選択をなされることを」
フィネガンは深々と頭を下げた。
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