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画面上の一分間で、二人はどのくらい時間を過ごし、どのくらいの距離を縮めているのだろう?
恋を失い傷心のヒロイン、エリザベスと、彼女を自慢のデザートで慰める青年ジェレミーとが過ごす優しい時間は、もっと観て(居て)いたいと思うくらい、画面のなかで早く過ぎてしまう。悲しみに暮れていた少女は、気が付けばブルーベリーパイを平らげて眠りこけてしまうし、そうした寝顔に青年がささやかなキスをするや、場面は朝になって少女はどこかへといなくなってしまう。まどろむように、甘い時間はあっという間だ。
けれどそれは短くなるばかりでもない。映画の感情が高まれば画面は何度となくスローモーションになって喜怒哀楽とした余韻を残してみせる。まるで魔法の術式や料理のレシピのよう。伸びも縮みもする一夜や一瞬たちはこの恋愛映画に素敵に作用する。
さて、心の所在や体感時間がいとおしく曖昧なこの映画にも、はっきりと数字がテロップで示されるものが二つだけ。失った恋を断ち切るために、旅に出たエリザベスが刻む、日数と距離だ。それはヒロインの潔さのようにも、ブルーベリーパイの大切な一夜を遠くに見る切なさのようにも。
そして旅を終え、ささやかな答えを手に帰る彼女を迎える結末には、甘酸っぱい満足感が広がっている。
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