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一 憧れの人
涙目の少女の目の前には、二組の団体が対峙していた。
数人の団体は、悪名高き『公家八家』の筆頭キョウゴク家次期当主・セイメイ=キョウゴクとその取り巻きたち。
キョウゴク家のみならず、『公家八家』に逆らう者がいるものならば、あらゆる力を使ってその者を徹底的にいじめ抜く。それでも抵抗しようとするならば社会的抹殺も辞さない。そんな奴等なのだ。『公家八家』と言う連中とは。
対する、少女を隠すように立ちふさがる二人は、まだ少年だ。だがれっきとした王國第一師団将兵らしい。着ている服の鷲と刀の紋章がそれを語っている。
「公家八家だかなんだか知らねぇけどテメェらはいちいち家柄言わねぇと人と話せねぇのか?ホント気が小せぇな」
ある少年の、彼等をバカにするような発言をしたことに、セイメイ一味は激怒した。
「どこぞの馬の骨が我等に逆らうとどうなるか分かってんのか!」
取り巻きの一人が吠えた。当たり前だ。なんせあのキョウゴク家に対して抵抗しているのだから。
その少年は、彼等にこう宣言した。
「よし、じゃあそこまで言うんならテメェらの『家柄至上主義』に則(のっと)って話してやる。俺は───」
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