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教室のドアを開けるといつも通りざわざわとうるさい声が聞こえた。 席に座り周りを見渡した。 そこには見事にグループ分けされた世界が広がる。 グループの中の一人一人が皆同じ顔をしている。 化粧で顔を塗ったくったような顔のグループ。 暗い人ばかりのグループ。 騒ぎまくるグループ。 自分も人と関わっている以上自然にグループに所属するはめになる。 そんな安易に分けられるモノになっている自分がすごく情けなかったが、この空間で一人にならないための方法はこれ以外ないのだった。 そんなことを考えながら黙っていると名目上の「仲良しグループ」のひとりの綾が話しかけてきた。 「ねぇ、ゆめちゃんってこの全クラスの人達と結構仲いいよね」 綾はニコニコしながら誉めるように言ったが、それは誉め言葉とは程遠いように感じた。 なぜならそいつの魂胆は見え見えだったからだ。 案の定その勘は当たった。 「私B組の高崎君って人のこと気になるんだけどさり気なくでいいから紹介してもらえないかな?」 彼女はあつかましくもそんなことを言ってきたのだった。 しかし残念ながら私は高崎という男のことを知らなかった。 「高崎って人はわかんないや。力になれなくてごめんね。」といかにも申し訳なさそうに私は謝っておいた。 それにもかかわらず彼女はしつこく頼んできた。 「じゃあゆめちゃんのB組の友達に頼んでもらえない?」 うんざりしたが私の人間関係が「広く浅く」というものであったのは事実だったので、こうゆうことを期待されるのはいたしかたないことだったのだ。 断ると面倒なことになるのですぐに承諾した。 彼女は満足気な笑顔をみせると「信じてるからね」などと余計な一言を付け加え席に戻っていった。 何が「信じてる」だ 裏切らないように念を押してるだけじゃないか。 結局彼女にとって私は出会い系サイトの管理人のようなものだった。 そんなことを知っていながらも一人でいるのは嫌なので、逆らえない自分がいた。 そしてこんなことを続けてきたから自分さえも信じれなくなっていった。 もう人に合わせることを仕方ないこととして考えていかないと生きていけなくなっていた。
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