4月2日 《金曜日》

4/18
前へ
/32ページ
次へ
しばらく上から下までマボロシ少女を真剣に見つめる。 「…ってオレは何じっと見てんだよっ!?」 何か恥ずかしくなり、自分で自分にツッコミを入れる。 「あ~。こんな幻覚(?)見るなんて相当疲れてんな…。今日はひとまず家で休むか。」 幻覚ということで無理矢理納得させ、とりあえず部屋に戻ろうとし、ドアのロックを解除するためにパスワードを入れる。 ウィーン。ガチャ。 オレは20階へ向かうエレベーターへと乗り込むため、自動ドアをくぐって中へ入ろうとした。が… 「んみゅ…?うわぁぁ~!待って~!行かないでぇ!」 「うぉわっ!?」 「お願いです…私たちを…私たちを拾って下さいッ!」 マボロシのはずの(まぁ、オレの勝手な設定だが)少女がオレの足を掴みながら叫んだ。 周囲の住人にも余裕で聞こえるほどの大音量で。 「はぁぁぁぁ!?」 「だからッ!わたしたちをッ!拾って下さいッ!!」 「ちょいっ!声でかすぎるって!てヵ拾うって意味わかんねぇよ!」 「何でもします!何でもしますから!だからお願いです!私たちを拾って下さい!」 ナンデモ?ってあんなコトやこんなコトも…? ぐっへっへ…。 ならまずは…。 ってそうじゃなくて! 妄想に支配されかけた頭を自制する。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

893人が本棚に入れています
本棚に追加