東京生活は続く

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そういえばこんなことがあった 父の日母の日敬老の日などに、私なりに一生懸命選んで、贈り物をしたことがある。 父様と祖母様に贈ったものは忘れたけど、 皆様 まったく無表情、返って迷惑そうにさえ見えた。 そして、母様は言った。 「こういうものは、涙を拭いたりね…」 たぶん、縁起悪い、贈り物にふさわしくない、と言いたかったんだろう。 だけど、私があなたに贈ったのは、 真っ白いハンカチではなくて、 よく見りゃわかるよ? あ、化粧箱から出してもいなかったか。 それは、スカーフだっつうの! 本当に、やることなすこと気に入らないみたいだ。 あの時も傷ついた。 傷は順調に刻まれていく。
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