秋。

5/5
前へ
/164ページ
次へ
それからいくつかの 季節が過ぎた。     人懐っこい甘えたな性格の伊田と打ち解けるのにそんなに時間はかからなかった。     次第に仲良くなり、バイトが終わって一緒に帰る事も多くなった。   帰り道、彼女が私にしてくれる話は大体が付き合っている彼氏の話だった。     『もー!アイツほんま嫌やわぁ!』     彼氏の愚痴を言っているのにも関わらず、私の目に映る彼女はとても幸せそうに見えた。     『あ、そうや!今度CD貸してや。ラフが好きなBUMPのアルバム。彼氏もたまに聴くんやってさ。』     彼氏が聴く唄を 聴きたいなんて… 可愛い奴め。 とか思いながら 『別にええよ。ほな今度バイト終わりに家まで配達したるわ。』     『わざわざ来てくれんのー?ありがとう!また道教えるわぁ』     こうして伊田の家に 初めて行く事になった。 そんなやり取りをしてその日は伊田と別れた。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加