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「ちょっと、これ、どういう事!!」
学園内の一室に叫び声が響いた。
「何でこんな記事が載ってるわけ? しかも写真まで!」
腕に赤い腕章をつけ、制服をピシッと着ている女性――団長こと美聖が叫んでいた。
「新聞委員ですから」
机をはさんで向かいには、ボサボサの髪を伸ばし片目が完全に隠れているハミがいた。
両手で耳を塞いでいる。
塞がずに聞いていたらアラレちゃんの疾走音が聞こえた事だろう。
「何で、私達の周囲の探知魔法が消えていたのですか?」
美聖はハミの隣に立っている男に言った。
白髪で切れ長の目をしている。
妖孤である。
「面白そうだったから」
無表情にそう言うが両手はしっかりと両耳を捉えていた。
彼、面白そう、な事には進んで参加する隠れイタズラっ子なのであった。
因みに、探知魔法とは、妖孤の時空系魔法を使い、対象が周囲の様子を知る事が出来る魔法の事である。
GPSの航空写真を見れる様な感じの魔法である。
薔薇十字団は職業柄、何かと危険が多いため、一部の例外を除き、全員、妖孤のおかげで使えるようになっている。
「貴方達ねぇ……」
美聖の額に青筋が浮かんだ。
その瞬間、バタンと言う音と共に一人の男性が入って来た。
赤い和服を着て、首輪をつけている。
空こと、校長であった。
このスタイルはおそらく趣味だろう。
「朝っぱらから怒鳴り声あげるな。二日酔いに響く」
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