高校入学

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そばで聞いていた千夏が 「あんた ちょっと  ヒドくない?そんな  言い方せんでも  いいやん!」 それ以上言おうとしている 千夏を遮って、葵は 『ごめんなさい、  馴れ馴れしくして』 と 紘司に謝り千夏には 『いいねん いいねん  葵が悪いんやから  大丈夫やって』 その時、担任の神田が 話し始めた。 私は、神田の話しも 耳に入らず、紘司の 冷たい言葉が 頭を駆け 巡っていた。 私の知ってる紘司は、 毎朝、バスの席を 取ってくれた優しい紘司 運動会の練習の時 笑顔で話し掛けてくれた 紘司…運動会当日だって、 紘司から声を掛けて くれたのに。 どうしたんだろう…、 中学で変わっちゃったの? その時、もう1人 同じ様な思いをしていた 者がいた。 神田先生の話しも終わり それぞれ帰る事になった。 先に終わっていた咲が 教室に入って来た。 「葵、一緒に帰ろっ」 葵は千夏にも一緒に 帰ろうと声を掛けて いたので 『咲、知ってるやんなぁ?  千夏!  同じクラスやねん。  3人で帰ろっ』 「千夏?加納さん!?  同じ高校やったん?  そうなんやぁ、  じゃ3人で帰ろっ」 咲も千夏もお互いを 知っていた。 3人は、これからの 高校生活に夢を抱き 語り合いながら帰った。 ―鳥井家― 部屋で1人で居る葵。 紘司の事を思い出していた。 明日から、少なくとも 1年間 同じクラスで 過ごすのに…。 溜め息をつく。 中学は家から近かったが、 高校は家から遠くなるので、 家から近い公立を 受け直した葵、そこで再び、 紘司と出会ったが… 教室で紘司と再会した時、 私は運命の人かも 知れないと思ったのに 一瞬で 打ち砕かれてしまった。 静かな部屋に溜め息がもれる。 プルプルプル…プル… 電話音 「葵、加納さんから電話」 と母の声。 『もしもし 千夏…』 .
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