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葵
お母さん、
あおいなぁ
一番前の席に
座りたいねん
母
へぇ
座れたらえぇねぇ
葵
でもなぁ~
いつも 先に誰か
座ってんねぇん
母
そうなんだぁ~
順番やもんねぇ
葵
どうやったらなぁ
あの とくべつな
席に座れるか
考えてんねんやぁん
母
ふぅ~ん
いい考えが浮かんだら
いいのにねぇ~
葵
うん!
あっ、バス
バス 来たわぁ
行ってくるわ
母
はいはい
頑張っといでねぇ
幼稚園に通う葵
これが私…。
今から、数十年前の私、
あの頃は 私がこんな私に
なるなんて
想像… いや
考えた事も なかったょ。
先生
あおいちゃん、
おはよう
葵
せんせい、
おはようございます
先生は、他の園児達を迎える。
バスに乗った葵が一番に
見るのは、
特別な場所。
2つある席の1つが
空いている。
ヤッたぁと思った私。
葵
ここに
座ってもいい?
紘
えぇでっ
葵
あおい、ずっとなぁ
この前の席に、
座りたかってん。
めっちゃウレシい。
紘
オレ、毎日
一番乗りやねんで、
好きな所に座れんねん。
あおいちゃんが
そんなに、ここに
座りたいんやったら
毎朝、こうじが 席、
取っとったるで。
葵
ほんまにぃ~
えぇのぉ~
絶対やでぇ
あおいの特別な
場所やねんからぁ
約束なぁ~。
紘よし、約束なぁ
まかせとけっ
葵
じゃあ、今日から
あおいとこうじは
お友だちなぁ~。
紘
おっしゃぁ~
親友やぁ
仲良くしよなっ
そして私 その日から
毎朝、一番前の
特別な場所に
座る事が出来た、
そして
特別な人に
出逢ったのだ。
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