127人が本棚に入れています
本棚に追加
私の日々は退屈だ。
どう退屈だと言われると困るが、私は何もしないで立っているだけで世界は回る。
朝はメイドが起こしに来て顔さえ洗ってくれる。着替えさせてもらうと、目の前には銀のカートに乗った朝食が並んでいる。
学校の送り迎えだって黒塗りの車に乗って、私はただ革臭いシートに身を委ねるだけ。
それでも一つだけ、この世がましに思えることがある。
唯一無二の存在、佳奈がいること。
＊＊＊
小学校の入学当初、私には友達と呼べる者が一人もいなかった。
確に、まだいないのは当たり前かと思っていたが、数日が経ち学校生活に馴れてくると周りの子達は気ままに話し合い遊んでいた。
なんだか私は取り残され、騒がしい教室もまるで私の居場所がないように感じた。
最初のコメントを投稿しよう！