さあ、夢のない唄を吟おうか

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さあ、夢のない唄を吟おうか

空は変わらずの灰色で 脚を絡めとる痩せた雑草 無機質な四角い箱の 我楽多だらけの小さな部屋に たった独りで君は居る 動き回る人の黒い群れ 手を伸ばす先は暗い洞穴 声も届かぬ遠い奈落の 氷の張った冷たい地底に やっぱり独りで君は居る 目を伏せては空を映し 天を仰いで奈落を想う 天衣無縫の君が疾る 笑う君は虚へと逃げる 荊の中へと侵入って行って 血塗みれ泥塗みれ棘塗みれ そして其のまま闇紛れ そこでやっぱり君と出会う きっと独りで君は居る
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