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編隊が訓練空域付近に到達した頃私はカメラを作動させた。 「もう始めますか?」 「まぁまて、焦るな。こっちにも手順ってものがあるんだ」 「えっ?」 「スポーツと同じだ。まずは軽く慣らし運転からだ」 「でも、もう十分飛びましたよ」「機体じゃねぇ、中身だ」 「ああ、なるほど」 「よし、全機、軽く機動しろ」 「了解」 無線から応答の声が聞こえたのと同時に周りの機が旋回を始めた。「さて、こっちもやるか」 「・・・手加減頼みます」 「誰がしょっぱなから本気出していくと思うんだ?さすがに、俺もそこまで向こう見ずじゃねぇ」 バートレットはそう言うと機体をゆっくりと旋回させた。 「大丈夫か?」 「ええ、これくらいなら」 「さて、そろそろ編隊を組み直せ始めるぞ」 すると10機は綺麗な編隊を組みバートレットの周りに集まった。「よし、始めるぞ」 バートレットが言った。 ―ピピッ・・・ 無線の受信音がなった。 「通信司令室よりウォードッグ、緊急事態が発生した」 「どうした?」 これが全ての始まりになる・・・ はからずも、私は教科書のページに載るような場面に出くわした。・・・最も、嬉しくも無かったが 「こちらのレーダーが、先程より国籍不明機を捉えている。現在、不明機はそちらに向かっている」
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