第二章……入学式

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洗面所に入ると、早くも父・卓郎が整髪料で髪を整えていた。 「おはよう。」 濃いグレーのスーツを着こなし、卓郎はいかにも仕事の出来る人に見えた。 「おはよ~父さん…」 つむぐはあくびをしながら、鏡に写った寝癖を手で押さえる。 「つむぐも高校生かぁ~父さんも年取ったな… でも今日の父さんイケてるだろ?カッコイイだろ?」 卓郎は眩しい笑顔をつむぐに向け、鏡の前でポーズを取る。 「…………(ウザ)。」 つむぐの背に影が落ちた。朝っぱらからどっと疲れた気分になる。 「ええぇ!?シカト!!?ちょっとつむぐ君?」 卓郎はつむぐの様子に傷付いたように涙ぐむ。 「はいはい。カッコイイ。」 つむぐが手を放すと寝癖は再び元気よく跳ねた。  
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