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洗面所に入ると、早くも父・卓郎が整髪料で髪を整えていた。
「おはよう。」
濃いグレーのスーツを着こなし、卓郎はいかにも仕事の出来る人に見えた。
「おはよ~父さん…」
つむぐはあくびをしながら、鏡に写った寝癖を手で押さえる。
「つむぐも高校生かぁ~父さんも年取ったな…
でも今日の父さんイケてるだろ?カッコイイだろ?」
卓郎は眩しい笑顔をつむぐに向け、鏡の前でポーズを取る。
「…………(ウザ)。」
つむぐの背に影が落ちた。朝っぱらからどっと疲れた気分になる。
「ええぇ!?シカト!!?ちょっとつむぐ君?」
卓郎はつむぐの様子に傷付いたように涙ぐむ。
「はいはい。カッコイイ。」
つむぐが手を放すと寝癖は再び元気よく跳ねた。
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