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「卓郎さん!これからはもっと力を合わせて頑張りましょう!」
泣き止んだ千恵子はつむぐを放し、卓郎に向かい合いその手を取り言った。
「ああ、頑張ろう!」
卓郎は千恵子の勢いに圧倒されながらも、しっかりと頷いた。
この時二人はつむぐの冷静な姿を見て、これからはもっと頑張ろうと決意したらしい。
しかし、とうのつむぐは
「なんてキモイ親なんだ。」
などと手を取り合う両親に冷めた目線を送っていた。
こうして志望校を県立に変えたつむぐは、県立に落ちたら後がないという理由で、結果的にレベルを少しおとしたため、特に勉強もせずに楽々と受かった。
そのため、合格発表を見に行ったつむぐは、周りで嬉しさの余り騒ぐ他の受験生を心底うるさいと感じた。
今は三年間通った"特に泣ける思い出もない中学"を卒業して、少し早い春休みをむかえているところだ。
真新しい制服が既にハンガーにかけられ、これから高校生活が始まるのだとぼんやりと自覚させた。
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