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良い年してハロウィンでもないだろ
そう言ったのは確か拓哉だ。
隆夫は思い出して苦笑しながら、ケーキを選ぶ。
俺もハロウィンなんて別に興味もないんだけどな…。
イベントごとが好きな浩介と不死原が意気投合し、ハロウィンパーティーをするなんて言い出したものだから、隆夫と田中と拓哉は振り回されることになった。
佐藤は食事全般、拓哉は酒の調達(未成年であることはさておき)、田中は不死原と一緒にパーティー会場である不死原家のリビングの飾りつけ、そして隆夫は一番簡単なケーキを買う係になっていた。
「どれがいいんだか…」
全員が全員、隆夫の好きなものでいいと言ったが、それが一番困るのだ。
たかだかケーキのことであれこれ悩むのはくだらないと、隆夫はハロウィン限定パンプキンケーキというものを選んだ。
ケーキが型くずれしないようにと気にしながら、不死原宅へ向かう。
不死原の家に行くのは初めてで、拓哉に書いてもらった地図と睨めっこしながら、足早に隆夫は歩いた。
「隆夫っ!!」
道の途中で後ろから聞き覚えがある声に呼び止められた。
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